東野圭吾著「手紙」を読んで考えること

犯罪をしてしまい、刑務所にいる兄からの手紙によって弟の生活に影響を与えていく小説です。著者は東野圭吾さんです。

家族に受刑者がいるとどういう気持ちなのかその周りはどう対応するのかということを考えさせられる小説でした。

小説では兄が受刑者である弟の視点から物語は進むのですが友達の反応、会社での突然の部署変動、妻のママ友達の対応が変わったりと辛いこと、理不尽だかわいそうだと思われることが多々起こります。しかし、実際に自分の周りに主人公と同じような境遇の人がいたらどうするだろうかと考えるとどうするんだろう、分からないなと頭を悩ませました。小説でありながら現実に起こるかもしれないテーマ、自分だったらという視点で読むと会社の決定、ママ友の自分の子供を主人公の子供から遠ざける行為に対して理解できる部分もあります。一緒に働いている人の家族が重い犯罪をおかしてしまったということを知っているとその人を意識してしまうことは事実だと思います。結局のところ人をみるしかないんだろうなと思いました。主人公にも妻や学生時代バンドを組んだ時のリーダーだった友人など主人公という人そのものをみて付き合ってくれる人がいます。この小説の主人公は努力家でしっかりと結果を出していきます。しかし、犯罪者の家族ということでその努力した出した成果を悉く奪われてしまいます。この小説を読んで思うことは人は努力することで結果を出せるということと犯罪者の家族ということで必要以上にその人を責め立てることがどれほど怖い行為かということを思いました。